自由貿易体制を守るために、各国はどう対応すべきかを考えてみたいと思います。 解説のポイントは三つです。 1) 保護主義的措置のねらいと背景 ・消費者は、同じものを買うときに商品の選択肢が増える(安く買えるようになる), しかし、自由競争が世界規模にまで大きくなると、海外で起きる政治的・経済的な動きが為替レートなどを通じて国内経済にも影響を及ぼすため、危機管理がより複雑で難しいものになります。, また、経済規模が大きくなると、力を持つ者はますます豊かになり、そこから脱落した者は経済的な力を失うという経済格差がより大きくなっていきます。, 例えば、ライバル会社との競争に打ち勝つため、企業が外国の安い労働力をもとめて生産現場を海外へシフトしたり、海外移民など低賃金雇用できる労働者を国内で雇ったりする流れが顕著になりました。, 先進国の労働者が海外の人に雇用を奪われるという状況が生まれたのも、「自由貿易」の負の一面だと言えるでしょう。, これらが自由貿易のメリット、デメリットですが、「保護貿易」だとこれが逆さまになります。, 「保護貿易」には、外国からの輸入品の数量を制限したり、高関税を課したりすることで、“自国の産業が競争に負けて衰退しないように保護する”、“自国民の雇用を守ることができる”というメリットがあります。, しかし一方で、自由競争にさらされないために自国の産業が成長せず、国際競争力を持つことができなくなるというデメリットもあるのです。, とはいえ、日本のように自由貿易主義の政策を推進している国々の中には、保護貿易主義の考え方が全くない訳ではありません。日本が各国と締結しているFTA、EPAには、保護貿易主義的な一面もあるのです。, 例えば、日本は自国の農業を守るため、米などの農産物に関しては海外の輸入品に対して関税を課しています。, こうした事情を抱えているのは日本だけではないため、FTA、EPA交渉は、それぞれの国の事情も踏まえてじっくりと協議され、発効に至っているのです。, 昨今何かと話題となるアメリカのトランプ大統領は、保護貿易主義的な政策を打ち出していますが、浸透している自由貿易の流れがトランプ大統領の方針だけで、すぐに保護貿易主義(保護主義)に切り替わるということはないと予測されています。, しかし、近年のアメリカやイギリスによる保護貿易主義的な動きが、これまでの自由貿易主義の在り方を大きく揺さぶったことは間違いありません。今後、日本政府をはじめ各国政府は、“自由貿易と保護貿易のバランス”を熟考しながら進むことでしょう。, 自由貿易と保護貿易の違いや、抱えている課題など、ご理解いただけたでしょうか? 2017年のトランプ大統領の誕生や、2016年のイギリスの国民投票によるEU脱退(ブレグジット)は、ある意味で現代のグローバル化の流れに対する反動ともいえます。, 貿易に携わっている皆さんにはぜひ、貿易取引を取り巻く体制が今後どのように変わっていくのかについても、関心を持っていただけたらと思います。, ※関連記事:『貿易事務ってどんなイメージ?仕事内容や現場の実情、待遇についてご紹介!』, シゴ・ラボでは、他にも貿易取引に関する知識や実務で使える仕事術など、貿易事務に携わる方に役立つ記事を、多数ご用意しています。ぜひ知っておきたい情報ばかりですので、さっそくチェックしてみてください!, 貿易事務を目指す方に向けて、「まずこれだけは覚えておきたい」現場で頻繁に使われる貿易用語をebookにまとめました。ダウンロードして、ぜひご利用くださいね。, みんなの仕事ラボ(シゴ・ラボ)は、働くすべての方々に向けたキャリアアップ、スキルアップのためのお役立ちサイトです。. しかし、歴史を振り返ると、自由貿易は度重なる保護主義的思想・措置とのせめぎあいの中、拡大してきたといえる。ここでは、歴史的な保護主義思想や懸念の高まりと、それを受けた保護主義抑止のための国際協調の動きを俯瞰的に捉えてみたい。 その手法として、新聞報道における保護主�  また、米国にとっての優先課題は引き続き対中政策となる見通し。みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「日本は(米の強硬措置への)同調を求められるが、米中に挟まれた立場であり、難しい対応を迫られる」とみる。, 【速報】  TPPはオバマ政権時代に、日米、オーストラリアなど12カ国で合意した。バイデン氏は大統領選で国内産業の保護を掲げ、トランプ政権が離脱したTPPへの復帰には言及しなかった。ただ、オバマ政権時代に米はTPPを中国包囲網と位置付けて交渉しており、日本政府内には「対中戦略の一環として将来的に復帰する可能性はある」との期待がある。 ・保護貿易…(自由貿易とは逆に)自国の産業保護のために国が関与、介入する貿易, 国家の介入・干渉にはさまざまな形がありますが、代表的なものに「関税」が挙げられます。, 通常、海外から国内へ商品を輸入する際には通関時に関税が課せられますが、各国が関税を課す一番の目的は、“外国産商品の価格調整をして、自国の産業を保護するため”であり、ほとんどの国では関税制度が設けられています。, つまり、価格の安い外国産商品がたくさん出まわると国内商品が売れなくなり、結果的に自国産業が衰退するといったことがあるために、関税制度が設けられているのです。, しかし、ここ10年ほどの間に自由貿易主義の考えが徐々に浸透し、世界各国は自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結んで、締結国間の関税を撤廃していく動きが活発になりました。, 日本もまた、各国との幅広い分野での経済活動の自由化を目的として、経済連携を推進している国のひとつです。, ※関連記事:『FTA、EPA、TPPの違い、わかりますか?』『日本のFTA、EPA相手国は何ヶ国あるか知っていますか?』, なぜこの10年ほどで、世界各国における「自由貿易主義」の傾向が強まったのか。その最大の理由は、自由貿易を促すことによって、“自国の経済的発展、成長が見込めるから”ということに尽きるでしょう。, ・製造者や生産者は、ライバルに負けないようにより良い商品を作る  一方、米国は今年初めに日本との2国間貿易協定を発効させたばかり。米業界関係者は「急にTPP支持に転換するのは困難だ」とみる。次期政権が発効済みの日米協定の追加交渉を選べば、日本は乳製品などでさらなる農産物市場の開放を迫られかねない。政府関係者は「次期政権の意向を確認することが大切だ」と語る。 主義の歴史とそれを乗り越え進展した自由貿易. 今回は、「自由貿易」と「保護貿易」についてご紹介します。貿易実務に直結する話ではないのですが、ニュースで取り上げられることもあるトピックですし、貿易に興味のある方はぜひ知っていただきたい内容です。貿易事務に携わるなら、ぜひ頭に入れておきましょう。, ここ10数年の間に、世界の貿易はこれまで人類が経験したことのない規模にまで大きくなり、最近では“経済のグローバル化”という言葉を頻繁に聞くほど、世界各国間での貿易取引があたり前の時代になりました。, これは、貿易取引が「自由」に行われるようになったことの表れでもありますが、一方で自国の利益を第一とするアメリカのトランプ大統領の方針や、イギリスの国民投票で決まったEU脱退(ブレグジット)に象徴されるように、自国を「保護」する動きも世界各地で表面化するようになりました。, こうした状況もあり、世界では今、国際貿易の在り方についてあらためて関心が寄せられ、日本の新聞やテレビのニュースなどでも「自由貿易」と「保護貿易」という言葉を目や耳にする機会が増えています。, ・自由貿易…輸出入について、国が介入や干渉しない貿易 日経平均株価は終値で500円超上昇し、2万5906円と29年ぶり高値を付けた. 米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利を宣言した。米国と対立する中国とも経済面で関係が深い日本にとっては、アジア太平洋地域で自由貿易をどのように推進するかが課題となる。政府内に期待のある米国の環太平洋連携協定(TPP)への復帰は展望できていない。 異なる国家間で行われる、商品の売買・取引を「貿易」といいます。その中で、関税(外国から商品が入るときにかかる税)などの国家による制限・介入がなく、自由に取引ができる「貿易」のことを「自由貿易」といいます。 各国が「自由貿易」を行うと、他国との売買・取引が活発化し、世界的に国際分業が広がります。すると、全体としての労働力に対する生産性が上がり、利益を産みます。また、消費者はより安い製品を買う … 自由貿易の推進課題 TPP復帰、展望できず―米 2020年11月10日07時14分 米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利を宣言した。 イギリス植民地の西インド諸島のプランテーション経営者は自由貿易を主張し、本国の工業製品の業者は保護貿易を主張した 。 同様の対立はアメリカでも見られ、保護貿易を支持する北部と、自由貿易を支持する南部の対立によって 南北戦争 (1861年-1865年)が起きた。 今回は、「自由貿易」と「保護貿易」についてご紹介します。貿易実務に直結する話ではないのですが、ニュースで取り上げられることもあるトピックですし、貿易に興味のある方はぜひ知っていただきたい内容です。貿易事務に携わるなら、ぜひ頭に入れておきましょう。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/05 06:03 UTC 版), 自由貿易の輸出の拡大・海外権益の確保が、帝国主義の動きを強め国家の対立を激化させているとする説がある。例として、(1) 植民地時代に宗主国が不利な条件で植民地に取引を強要し、搾取した。 (2) 欧米は自国が輸出する製品に関しては貿易の自由化を進めた一方で、発展途上国の競合する製品に関しては保護政策をとり続けた、などがあげられる。19世紀のイギリスは自由貿易をめぐって他国から批判され、自由貿易を進めるのは経済力を背景とした利己的な政策である、イギリスはいち早く工業化を達成した地位を利用して他国を搾取している、などの意見があった[23]。, 産業の違いによって、国内で自由貿易と保護貿易の支持者が対立することもあった。イギリス植民地の西インド諸島のプランテーション経営者は自由貿易を主張し、本国の工業製品の業者は保護貿易を主張した[190]。同様の対立はアメリカでも見られ、保護貿易を支持する北部と、自由貿易を支持する南部の対立によって南北戦争(1861年-1865年)が起きた。北部は工業が主体だったが、南部ではプランテーションの綿花やタバコの輸出が主体であり、黒人奴隷の労働力に依存していた[注釈 49]。, 自由貿易のルール違反をめぐって国家間の紛争が起きる場合があり、WTOは調停解決のためにWTO紛争解決機関(英語版)を設けている。紛争解決機関では、専門家が紛争当時国の意見をもとに通常は1年以内に結論を出す。ルール違反をしているという結論の出た国が違反を続けた場合、WTOには強制力はなく、苦情を申し出た国は関税や輸出制限などの報復権利を得る。これまでの紛争としては、ガソリンと大気汚染をめぐるベネズエラとアメリカの紛争や、バナナをめぐるEUと中南米の紛争などがある[192]。紛争解決機関は、輸出指向型の成長をする新興国にとって有利になる。アメリカなど大国との経済摩擦を二国間協議ではない方法で解決できるためである[94]。, 自由貿易のページの著作権Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。, ビジネス|業界用語|コンピュータ|電車|自動車・バイク|船|工学|建築・不動産|学問文化|生活|ヘルスケア|趣味|スポーツ|生物|食品|人名|方言|辞書・百科事典, 東南アジアは、多島海の入り組んだ地形、季節風、おだやかな海、豊富な木材などの条件に恵まれていた, マルサスは、イギリスでは高い穀物価格のもとで農業投資が進んだ点を評価したが、それはフランスとの戦争がもたらした状況であり、終戦後の農産物価格低下で崩壊した, イギリスには自由貿易を拡大したいという目的があり、フランスはオーストリアとの戦争が予想されたためにイギリスと関係を改善するという目的があった, 金本位制で貿易収支が赤字になった国は、財政収支均衡のためにデフレ政策が必要となる。金保有量の不足が深刻となった場合は、金本位制の停止・平価の切り下げ・他国からの資金借り入れのいずれかが必要となる, イギリスの輸入は特に一次産品が多かった。1860年にはアジア・アフリカ・ラテンアメリカの全輸出品の半数、1880年は甘蔗糖・茶・小麦の国際取引量の半数、1881年には全世界の食肉輸出の半数を輸入していた, 1906年から1910年は、赤字は1億4200万ポンド、黒字は1億3700万ポンドだった, イギリスは1840年代から植民地への優遇関税を廃止して自治領に関税自主権を与えた。フランスは植民地を国内と同様に扱って最恵国待遇を与えた。ドイツ、ベルギー、オランダなども植民地の関税を低くした, 1885年から1910年にかけての貿易拡大を国別にみると、イギリス・フランスが1.9倍、イタリア2.2倍、ドイツ・ロシア・アメリカ2.6から2.8倍、カナダ3.6倍、日本13.9倍となる。貿易額の対GNP比率は企業勃興期に14%、日清戦争後21%、日露戦争後25%と上昇した。当時の日本の輸出は紡績の軽工業が主体だった, ブラジル・コロンビア・エクアドル・中米のコーヒー・砂糖・バナナ、アルゼンチン・ウルグアイの羊毛や食肉、メキシコ・ペルー・チリ・ボリビアの鉱物資源、ブラジルやメキシコのゴムなどがある。モノカルチャー貿易は、オリガルキアと呼ばれる, 中国はアヘン貿易をはじめ各国との貿易で赤字を計上しており、その貿易赤字は海外からの送金によって埋められていた可能性がある。中国人は、19世紀には東南アジア、アメリカ、キューバ、ハワイ、インドなど各地に労働者として渡っていた, 共和党が高関税による保護貿易政策を主張して企業の支持を失ったことも影響し、民主党のローズヴェルトは, IMF体制下の時代(1945年-1971年)と、金融のグローバル化が進んだ時代(1973年-1997年)を比較すると、後者で金融危機の発生が増大しており、年平均でみると新興国(3.80件)が先進国(1.76件)よりも多い, 日本の外貨収入のうち朝鮮特需の割合は1951年に26.4%、1952年は36.8%、1953年は38.2%で外貨不足を補った。1966年には輸出増加額のうち80%近くがベトナム周辺地域とアメリカ向けとなった, 1991年までのインドは輸入関税が平均90%で最高300%と高く、輸出入には許可制をとっていた, 植民地時代の影響で国境線が入り組み、55カ国の中で総人口が2000万未満の国が40カ国、GDPが200億ドル以下が38カ国にのぼる, 構造調整の手段には、(1) 政策条件、(2) 政策対話、(3) マクロ部門経済調査がある, 交易条件とは、輸出品の価格を輸入品で割った値を指す。この数値の上昇は輸出量に対して輸入量が増えることを表しており、交易条件の改善と呼び、その国の経済厚生が増えることになる, 産業育成のために使われた輸入制限、為替レート統制、ローカルコンテンツ要求などはコストが高い。代替した輸入品と比べて生産費用が3倍以上の産業でも存続できるほど保護されていた国もあった, 消費者は域外の安くて関税が高い輸入品ではなく、域内の高価な品を買わなければならない可能性がある, 黒人は南北戦争では共和党を支持したが、のちの大恐慌で民主党のローズヴェルト政権が黒人の権利向上、連邦政府の黒人雇用、農業保障局の南部黒人への恩恵などを行ったために民主党支持へと変わっていく, All text is available under the terms of the. アジア太平洋地域で自由貿易圏の構築を目指す、rcep=東アジア地域包括的経済連携は、15日開かれた首脳会議でインドを除く15か国で合意しました。 しかし、歴史を振り返ると、自由貿易は度重なる保護主義的思想・措置とのせめぎあいの中、拡大してきたといえる。ここでは、歴史的な保護主義思想や懸念の高まりと、それを受けた保護主義抑止のための国際協調の動きを俯瞰的に捉えてみたい。 その手法として、新聞報道における保護主� 自由貿易の推進課題 TPP復帰、展望できず―米 2020年11月10日07時14分 米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利を宣言した。